地域包括ケアシステムの今後の課題
介護、医療サービス、予防、生活支援などを地域がまとめて提供する「地域包括ケアシステム」というものがある。主に高齢者のサポートが目的で、今後の介護・医療業界や高齢者の待遇改善につながると期待されている。しかし、当然ながら解決しなければいけない課題もたくさんある。
まず、認知度の低さだ。一般の人はもちろん、医療従事者や自治会関係者でも、地域包括ケアシステムのことを聞いたことが無いという人は多い。地域包括ケアシステムは地域全体の連携が重要になるので、システムの実用化には存在を知ってもらうことは必須条件となる。まずは存在のことを、そして具体的な仕組みや活用方法を民間に浸透させていく工夫は今後の課題だ。
サービスの地域格差も懸念されている。地域包括ケアシステムは「それぞれの地域が責任をもって高齢者を支えていこう」というサービスである。そのため、地域の資源や財力によって実施可能なサービスが変わってきてしまうのだ。サービスの質が良い地域に人が流れてしまったら、それは本末転倒である。地域にまかせながらも国がその格差をなくすサポートをしていくことが必要になり、さらにそのバランスをとることも重要だ。
「地域全体で高齢者を支える」とは言っても、支える人間も限られていることは忘れてはいけない。少子高齢化や地方における若い世代の過疎化により、地域包括ケアシステムを実行できる人材が少ない地域は多い。ボランティアや企業に協力を仰ぎ、人材が途切れないようにする工夫も考えなければならない。